図1 に処理前のクロシドライトの位相差顕微鏡による分散染色の結果を示す。この写真の横軸が10ミクロンであり、クロシドライトが極めて細長くなっているかがわかるし、両端が鋭利に尖っているかがわかる。この状態のアスベストは極めて危険である。
図2 エコベストを含浸固化させた後、人為的にそれを全て400ミクロン以下の大きさに砕いたものからクロシドライトをできるだけたくさん取り出し、そのうち1つの位相差顕微鏡写真を示す。クロシドライトはエコベストによってすっかり取り囲まれ、太くなり、鋭利な両端は見られない。この状態は他のクロシドライトについても同様である。
図3 に1.5モル濃度の硫酸で24時間振とうさせた結果のクロシドライトの同様の写真を示す。スケールがあるのでどの程度の大きさであるかわかる。このクロシドライトも同じくエコベストよってすっかり取り囲まれ、強力なX線解析装置を使わないと中に何が含まれているかわからない。破断面のクロシドライトも同様である。
図4 に1.5モル濃度96時間振とうさせた結果のクロシドライトの同様の写真を示す。前の場合と同じくクロシドライトはすっかりエコベストによって囲まれてしまっており、位相差顕微鏡ではまれにしかない破断面にクロシドライトがわずかに認められるだけである。硫酸で処理する前と後で違いは認めにくい。
以上の実験の結果を、自然の状態に換算してエコベストを含浸固化させれば何年間大丈夫であるという換算は単純にはできないが、建造物ならその耐久時間以上の期間固化状態を保つと考えて差し支えないであろう。また含浸固化させたものを、人為的に粉砕しほとんどさらさらに近い状態にしてもエコベストはクロシドライトを包んでおり、両者は極めて親和性の良い事がわかる。
現在アスベストの処理が続いているが、費用の関係で困難な場合も創造される。しかしCAS工法を用いれば相当長期にわたって粉塵化する事をおさえられる。また特に吹き付け材に含まれている場合、撤去しても処分場の受け入れ可能な限度があるが、CAS法をもちいれば、アスベストをエコベストで取り囲んでしまうためリスク管理も軽減でき、処分場の問題も解決するのではなかろうか。
平成19年1月30日
国立大学法人 東北大学大学院理科研究科
教授 藤巻宏和 |